ママに寄り添う発酵調味料づくり《ママの薬膳と食育・宮良香梨》
ママに寄り添う発酵調味料づくり《ママの薬膳と食育・宮良香梨》
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歴史文化
放送日:2025.08.18 ~2025.08.22
初回投稿日:2025.08.26
最終更新日:2025.08.26
最終更新日:2025.08.26
目次
てぃーあんだーから生まれる発酵調味料
那覇市首里にある一軒家のキッチンで、塩麹、味噌、糖蜜など、さまざまな発酵調味料の作り方と、その活用方法を教える教室「ママの薬膳と食育」が開かれています。
教室を主宰するのは、その一軒家に家族とともに暮らす、宮良香梨(みやら・かおり)さん。もともとはエステティシャンで、食の知識も美容に関する情報が多かったそうですが、結婚後、出産した長女に心臓疾患が見つかったことをきっかけに、食に対する意識が変わっていったといいます。
発酵調味料教室「ママの薬膳と食育」を主宰する宮良香梨さん
香梨さんは「子どもの健康を守るために、自分にできることは何か」と考えた結果、「食事しかない」と気づきました。そして先人の知恵を学ぼうと、薬膳や発酵食の勉強をスタートしたところ、しだいに子どもの体調不良はなくなり、保育園などでも「表情が活き活きしている」と言われるように。その経験から、香梨さんは「発酵のチカラ」を実感しました。
生野菜と塩麹を混ぜるだけで、おいしい一品が手軽に作れます
そして5年半前、その知識をより多くの人に伝えたいと、教室をオープンしました。香梨さんは、発酵調味料こそが「沖縄のてぃーあんだー」だと語ります。
「発酵調味料があれば、おいしい料理が簡単に作れます。完成まで時間はかかりますが、昔から伝わってきたやり方で、手間暇かけて自分の手で仕込んだ調味料には、手の常在菌のおかげか、市販品とは違うおいしさが生まれます。この発酵調味料に肉や魚、野菜を漬けておくだけで、食材のおいしさが驚くほどレベルアップするんです。沖縄でいう『てぃーあんだー』ですね」
ママが家族の幸せを願って集まる教室
香梨さんの教室では、塩麹、醤油麹、味噌床、芋床、発酵糖蜜など、発酵調味料の作り方を教えるほか、梅の季節なら梅干しや梅シロップの作り方、さらには季節ごとの薬膳レシピなども紹介しています。
肉や魚、野菜など、食材を発酵調味料に漬けておくだけで、驚くほどおいしくなります
教室に通ってくる生徒さんは、自身と同じく子育て中で、「子どもや家族のために身体にいいものを知りたい、美味しいものを提供したい」と考えるお母さん達が中心。リピーターも多く、また回を重ねるごとに口コミで参加者が増えており、教室開催のお知らせを受け取っているLINE会員は、現在約80人ほどにのぼります。
香梨さんの教室には、「家族のため、身体に良くておいしい食事を作りたい」と願うママ達が集まります
そうしたお母さん達に喜んでもらうことが、香梨さん自身のやりがいにもつながっています。
「発酵調味料の作り方を学ぶことで、今まで料理が苦手だった方が積極的に料理をするようになったとか、子どもが苦手だった食材をおいしく食べられるようになった、という話を聞くと嬉しいです」
家庭菜園ではじける家族の笑顔
香梨さんの自宅の隣には、ご主人の邦広さんが始めた家庭菜園があり、香梨さんはそこで採れる野菜や果物を隣近所にお裾分けしたり、自身の教室で利用したりしています。
邦広さんは「実際に収穫を体験することで、生産者の苦労もわかるし、家族で楽しくできるのもいい。それに自分達で作ったものは、味が(市販品とは)ぜんぜん違って、すごくおいしいんですよ。採れたてを食べられるのは、家庭菜園の醍醐味ですね」と、その魅力を語ります。
邦広さんを中心に、家族みんなが畑仕事に参加します
畑作業が終わったら、畑で採れた果物や、自家製糖蜜で作った梅サイダーとともに、家族団らんのひとときを楽しみます。汗を流して行う畑作業が、家族に笑顔をもたらしているのです。
採れたてのスイカと梅サイダーのおいしさに、家族の笑顔がはじけます
沖縄の食と生活の知恵を、次の世代に伝えたい
香梨さんは、薬膳や発酵食について学び始めて以降、沖縄で受け継がれてきた食の知恵を継承することの大切さに、改めて気付いたといいます。
中でも覚えているのが、今は亡き祖母のこと。祖母が中味汁を作るときは、豚モツの下処理からていねいに行っていたそうです。香梨さんは「あれこそ、まさに『てぃーあんだー』。祖母が生きているうちに、いろいろ教えてもらえばよかった」と振り返ります。
自分の手を使って作ることで「てぃーあんだー」なおいしさが生まれます
だからこそ今、自分が学んだ食の知恵を、より多くの人に伝えたいと考え、教室を開催しています。
「私が願っているのは、『この教室で学んだことを、子どもや家族、友達などに伝えていってほしい』ということ。沖縄で受け継がれてきた食の知恵と知識を途絶えさせず、次の世代へとつないでいけたらと思います」
発酵調味料作りを通じて、沖縄の食の知恵を広めています
また、香梨さん自身も3人の子ども(中1の長女、小5の長男、幼稚園年長の次女)がおり、開設当初は教室に生後半年の次女を連れて行っていていました。だからこそ、この教室は「子供連れ大歓迎」。親子で楽しそうに調味料づくりに取り組む姿を見るのも、香梨さんにとって大きな喜びなのです。
発酵調味料を日々の食卓に生かす
教室では発酵調味料の作り方だけでなく、その使い方も紹介するのが香梨さんのこだわり。調味料を仕込んだら、それらを使った料理を参加者と一緒に作り、ランチとして実食してもらいます。
発酵調味料作りを学んだ後は、参加者みんなでランチを作ります
また、インスタのストーリーでも、各種調味料を使ったレシピをアップしています。その理由は、ここで作り方を学んだ調味料を、自宅でも積極的に使いこなしてほしい!と願っているから。
「せっかく調味料を作っても、使い方がわからないと『作って終わり』になってしまいがち。調味料の使い方を知ることで、料理がおっくうではなくなり、自宅でもどんどん使ってもらえるようになったらいいな、と思っています」
子育て中のママに寄り添いたい

赤ちゃんもママと一緒に、発酵調味料作りに参加します
教室を開いた当初は、香梨さん自身、その目的を「お母さん達に、発酵調味料の作り方・使い方を教えること」だと考えていました。でも、次第に「子育て中のお母さんに寄り添うこと」こそが、一番大事なのではないか、と気付きます。
「私自身も経験していますが、子育て中のお母さんって、周りに頼る人もいなくて、不安やさみしさ、孤立感にさいなまれがちなんです。そうしたお母さん達に、子どもと一緒に参加できて、子育てや食の悩みを、気軽に語り合える場所があったら、とても気持ちが楽になるんじゃないか、と」
そこから、香梨さんは「私がこの教室でやりたいのは、調味料づくりを教えることだけじゃない。子育て中のお母さん達が、元気になれる場所を作って、お母さん達に喜んでもらいたい」と考えるようになりました。
料理が完成したら、参加者みんなでおしゃべりを楽しみながらいただきます
子育てや食の悩みも多いお母さん達にとって、香梨さんの教室は、大切な心のよりどころ。そして香梨さんにとっても、発酵調味料づくりを通じて、子育て中のお母さん達に寄り添える場所を作っていくことが、自分自身の生きがいになっているのです。
ママの薬膳と食育Instagram(DMで問い合わせ受付)
沖縄CLIP編集部
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