もったいないからありがとうへ《NPO法人フードバンクセカンドハーベスト沖縄》
もったいないからありがとうへ《NPO法人フードバンクセカンドハーベスト沖縄》
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歴史文化
放送日:2026.02.09 ~2026.02.13
初回投稿日:2026.02.20
最終更新日:2026.02.20
最終更新日:2026.02.20
目次
捨てられる食品を必要な人に届ける
賞味期限間近、在庫過剰などの理由で企業・生産者が廃棄しようとしている食品や、個人宅で食べ切れず余っている食品などを寄付してもらい、それらを必要とする施設や団体、生活困窮家庭などに配布する活動を「フードバンク」といいます。食品ロスを削減し、地域福祉の向上を目指すこの活動は、1960年代にアメリカで始まり、日本でも2000年代から取り組む団体が出てきました。そのうちの一つが、沖縄に拠点を置くNPO法人「フードバンクセカンドハーベスト沖縄」(以下FB2h沖縄)です。

「もったいない」の思いから活動スタート
FB2h沖縄の設立は2007年。当時、子育て中の主婦だった奥平智子さんが、テレビでフードバンク活動を取り上げた番組を目にしたのがきっかけでした。もともと食品ロス問題に関心があった奥平さんは、「もったいない食品を活かす」というフードバンクの理念に共感し、「この活動は今後、沖縄でも間違いなく必要になる」と直感。沖縄でフードバンクに取り組んでいる団体を探しましたが、存在しなかったため、まずはフードバンクの紹介から始めようと、「フードバンクを知っていますか?」というチラシを作り、フリーマーケットで配り始めました。そのうち、周囲から「実際に食品を集めて、配ってみたら?」と勧められ、本格的に活動を開始します。
FB2h沖縄の代表を務める奥平智子さん
「最初は企業に食品の提供を依頼したり、福祉施設などに食品を受け取ってもらえるよう打診したりしました。当時、フードバンクとしては沖縄では初めて、日本でも3番目くらいに立ち上がった団体だったので、フードバンク自体を知っている人も少なくて、最初はどこへ行っても怪しがられました(笑)」
その後、徐々に協力してくれる企業や施設・団体等が増えていき、2010年にNPO法人化。奥平さんが代表に就任し、地道に活動を続けていましたが、2020年のコロナ禍を契機に支援が必要な人が増え、「フードバンク」の活動も広く知られるようになりました。現在、FB2h沖縄では、年間150トン以上の食品を取り扱い、施設や団体、個人世帯など130か所以上に届けています。

FB2h沖縄と連携している窓口は県内各地にあり、食の支援が必要な人に食品を届けています
ボランティアやスタッフにも支えられて
奥平さんがフードバンク活動でもっともやりがいを感じるのは、「捨てられていたかもしれない食品を、必要としている人にきちんと届けられたとき」だといいます。
「よく『こんな大変なことを、何が楽しくて続けているんですか』と聞かれるんですが(笑)、私は食品ロス削減という活動自体が楽しいんです。もともと『もったいない』と思う気持ちが強かったので、提供者と利用者の間で食品をマッチングできたときは達成感がありますね。辛いこともたくさんあるけど、すぐ忘れます(笑)」

政府がフードバンク用に配布している備蓄米が事務所に届く日は、それを受け取る施設や団体のスタッフも駆けつけ、総出で荷下ろしを行います。お米は1箱30kgあるので、荷さばきは体力仕事です
また、活動を通じてボランティアやスタッフ、学生、提供元の企業、利用者やその子どもたちなど、いろいろな人々とコミュニケーションを持てるのも楽しみの一つ。FB2h沖縄には、活動の趣旨に賛同したボランティアが複数参加しており、活動を続けるうえで大きな戦力になっています。

ボランティアとして参加している西川さんは元パイロット。「今までの人生のお返しというか、自分ができることがあれば、皆さんの役に立ちたいなと思っています」

ボランティア最高齢となる82歳の城間さん。フードバンク活動に参加していて一番嬉しかったのは 「子どもたちからのお礼状」だそう
信用とつながりで活動が成り立つ
奥平さんは活動を続ける中で、「提供元から託された食品をきちんと利用者に渡す、約束を守る、という意識がとても大切」と実感しています。
「私たちはお金ではなく、人との信用とつながりで成り立っている団体なので、それが崩れたら終わりだと思っています。逆にいえば、そうした関係はけっこう強くて、なかなか切れないものだとも感じています」

大手コンビニチェーンのセブン-イレブンでは、定期的にFB2h沖縄に商品を提供しています。「私たちの商品を、責任を持って利用者の方に届けてくださるという点で、FB2h沖縄さんは信頼できると感じたので、一緒に取り組ませていただいています」

協力企業の中には、食品ではなく活動に必要な資材として、冷凍庫を提供してくれているところもあります。冷凍食品は子どもが一人でも食べられ、長期休みのときなどに助かるので人気が高いとのこと
食べることは生きること。食の支援で自立を支える
もともと「もったいない食品を必要な人に渡せたらいいな」という思いでフードバンク活動を始めた奥平さん。当初は「食に困っている人を助ける」という意識はそれほど強くなかったそうですが、沖縄の生活困窮世帯の現状を目の当たりにするうち、「これは沖縄には必要な活動だから、多少無理してでも続けないといけない」と思うようになりました。
「食べ物がないというのは単なる困窮ではなく、人権に関わる問題です。食べることは基本的人権であり、生きるための第一条件。食が満たされることで元気が出て、明日を生きる活力が生まれ、仕事にも前向きになれる。そういう人が増えれば経済にも良い循環が生まれて、企業にもメリットがあるし、沖縄全体が幸せになる。私たちの活動が、そのきっかけになれればと思っています」
生活困窮は、ともすれば「自己責任論」で片付けられることもありますが、奥平さんは「困窮の背景には社会構造があり、個人の事情もある。その中でも『なんとか自立したい』『頑張りたい』思っている方を支えることが大事」と力説します。ただ上から手助けするのではなく、一緒に手を取り合って支え、自立への道筋をつけていく。それがFB2h沖縄の目指すところです。

食品を食べた子どもたちから届くお礼の手紙も、奥平さんたちFB2h沖縄スタッフのやりがいにつながっています
困ったときに頼れる場所をつくる
また、そうした支援をより利用しやすくするため、FB2h沖縄では2024年末から、食品を必要とする家庭が、直接食品を受け取ることができる店舗(パントリー)も運営しています。現在は毎週月曜と水曜の午後に那覇市松山の店舗で配布を行っているほか、豊見城の事務所でも毎月1回配布しており、家庭ごとに月一度まで利用が可能。奥平さんは「必要な時にこの仕組みを活用できることが、沖縄で『当たり前』になったらいいなと。『困ったときはここを頼ればいいんだ』と思ってもらえたら嬉しいですね」と語ります。

那覇市松山にあるパントリー

3人の子どもを育てる一人親の女性は、毎月パントリーを利用しています。「今はお米も高いので、すごく助かっています」
最大の課題は活動資金の確保
FB2h沖縄設立から20年近くが経った今、「フードバンク」の活動は沖縄でも広く知られるようになり、協力団体や企業も増えてきました。しかし、活動を続けるうえでの根本的な課題は変わっていないと、奥平さんは指摘します。その一つが、「寄付したい人より寄付を受けたい人のほうが多い」という現実。特にコロナ禍以降は、支援を求める人が激増して需給のバランスが取れず、必要な人に必要な支援が行き渡らない状況が続いています。
そして最大の問題は、FB2h沖縄を安定的に運営していくための活動資金が確保できていないことです。フードバンク活動は、食品自体は企業などから無償で提供されますが、それを保管する倉庫代や事務所の家賃は必要ですし、ボランティアの手助けはあるにせよ、きちんと運営していくためにはスタッフを雇わねばならず、その人件費もかかります。FB2h沖縄は、企業の支援や寄付金、行政や民間団体の助成金などで活動を継続していますが、長期的かつ安定した資金源があるわけではなく、「いつまで続けられるのか」という不安と常に隣り合わせだそう。事業の公的性を考えれば、今後は行政による助成をはじめ、社会全体で活動を支える仕組みづくりがさらに必要になってくるのではないでしょうか。

さまざまな課題を抱える中、スタッフは日々精力的に活動に取り組んでいます
沖縄各地にフードバンクの活動拠点を!
現在、FB2h沖縄は豊見城市と那覇市に拠点を置いていますが、今後は本島中部・北部・宮古・石垣など、離島も含めて県内各地域に活動拠点を作っていくことを目指しています。
「県内各地に食品ストックを置いている場所があり、必要な人が気軽に取りに来られるようにしていきたいですね。近年、子ども食堂や子どもの居場所づくりの活動は増えていますが、私たちは『子どもだけでなく、家庭全体を支えるべき』だと考えています。そうしなければ、この問題の根本的な解決にはつながらないと思いますから」
フードロス削減だけではなく、 福祉のセーフティーネットの機能も持つFB2h沖縄。その活動が、沖縄のウェルビーングを支えています。
特定非営利活動法人フードバンクセカンドハーベスト沖縄
- 住所 /
- 沖縄県豊見城市翁長813-1
- TEL /
- 098-851-3400
- Webサイト /
- https://www.2h-okinawa.org/
沖縄CLIP編集部
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