創意工夫で島豆腐の未来を変える《池田食品/三代目池田屋》

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歴史文化

放送日:2024.04.29 ~2024.05.03

初回投稿日:2024.05.17
 最終更新日:2024.05.07

創意工夫で島豆腐の未来を変える《池田食品/三代目池田屋》

昔から変わらない島豆腐づくり

西原町の丘の上にある昭和58年創業の池田食品は、昔ながらの地釜でつくるこだわりの島豆腐をはじめとする、種類豊富な大豆製品が人気のお豆腐屋さん。本島中南部では「パ〜プ〜」という懐かしいラッパの音と共にやってくる、移動販売の豆腐屋さんとしてもお馴染みです。

冷やして食べるのが一般的な県外の豆腐とは違って、「あちこーこー」=「できたて熱々」を食べるスタイルで長年愛されてきた沖縄の島豆腐ですが、近年は消費量が減少の一途を辿っており、小さな豆腐屋さんの廃業も相次いでいると言います。

約14年前、27歳の時に池田食品を継いだ3代目の瑞慶覧宏至さんは、そんな島豆腐の未来をより良く変えていこうと、島豆腐と豆腐屋のブランド力向上に取り組んでいます。「島豆腐に育てられたという想いがありますから、その恩返しというのは少しおこがましいですが、この食文化を残していくことが僕の使命だと思っています」という瑞慶覧さん。

伝統的な製法はそのままに、原材料を国産大豆や県産の塩など、安心、安全とおいしさにこだわったものへ。「三代目池田屋」という新しいブランド名で、若い世代にも手に取ってもらいやすいパッケージデザインを考案したり、独自の販売方法や従業員の働き方改革など、自社のリブランディングを積極的に行ってきました。

働く従業員
深夜2時過ぎから始まる伝統の島豆腐づくり。あちこーこーを食べる沖縄の豆腐文化が受け継がれています

厳選された国産大豆
厳選された国産大豆や県産の塩など素材にこだわった「三代目池田屋」の島豆腐は、「本当においしい」「昔お豆腐の味がする」という根強いファンが多い

瑞慶覧宏至さん
「大豆は地球を救うと本気で思っています」と語る、3代目社長の瑞慶覧宏至さん

伝統を守りながら、大豆の可能性を広げる

立ち込める湯気の中で、朝一番の島豆腐が仕上がる朝7時頃。豆腐工場に隣接する調理室では、豆腐やおからを使ったお惣菜やスイーツづくりが始まります。
今、池田食品が手がけている大豆製品は約50種類。県外での勤務経験がある瑞慶覧さんは、ゆし豆腐、島豆腐、揚げ豆腐くらいしかない沖縄の豆腐商品の少なさに着目。「県外には湯葉、油揚げ、がんもどきなど、大豆を使った商品がたくさんあります。大豆は植物性たんぱく質なので環境にもやさしいし、栄養価も高い。豆腐屋ではなく大豆加工専門店というスタンスで、いろいろな商品をつくっています」と、大豆の可能性を熱く語ります。
中でも、伝統的な島豆腐をつくる過程で大量に生み出される「おから」は、そのままでは産業廃棄物として処分しなければなりませんが、実は食物繊維の宝庫。素材として活かせばヘルシーな惣菜やスイーツになります。「大豆の可能性を広げたい」という想いで、池田食品では常に新しい商品の開発を行っているそうです。

島豆腐
一丁一丁心を込めた心手作業で切り分けられていく、ずっしり重い島豆腐

湯葉
湯葉やがんもどきなど、沖縄ではまだ馴染みの薄い大豆製品も製造しています

やさしい味わいのスイーツ
豆乳やおからをふんだんに使った、やさしい味わいのスイーツも人気です

できたての豆腐と笑顔を届ける

池田食品の島豆腐や大豆のお惣菜、スイーツなどの商品は、移動販売車での直販売を中心に行われています。かつてはスーパーへの卸販売のみでしたが、自らが販売まで手がけることで商品管理がスムーズになり、売り上げアップにもつながったそうです。

「例えば、スーパーに納品する場合には365日24時間、そのお店の営業日や時間に合わせて商品をつくらなければなりません。ですが自分たちで手売りをすれば、自分たちのペースで商品をつくれますので、土日を休みにすることもできます」

現在は月曜日から金曜日に沖縄本島の中部、南部を中心とした約2500ヵ所を訪問販売してます。「販売スタッフにとって、移動販売車は自分のお店を持つようなもの。ただ単に商品を売るだけではなく、お客様との会話によって仕事にやりがいを感じたり、信頼関係が生まれることで、“売る人の価値”も高めてくれるんです」と、瑞慶覧さん。

直販売によって廃棄する商品も少なくなり、従業員の所得やモチベーションもアップできる、そんなwell-beingな働き方を実現させました。それを証明するかのように、池田食品の求人には、いつも定員以上の応募があるそうです。

移動販売車
自分のお店として、愛情を込めて移動販売車の棚に商品を陳列する販売スタッフ

移動販売車
できたての商品を積み込んで、移動販売車が各地へ出発していきます

ユンタク
お客様との何気ないユンタクから、信頼ややりがいが生まれていきます

大豆の魅力を伝えるソイカフェ

池田食品から徒歩5分のところにある「Cafeソイラボ」は、こだわりの大豆をふんだんに使ったメニューが味わえるカフェ。赤ちゃんがハイハイできるベビールームや、絵本が並ぶキッズルーム、おぼろ豆腐を使った離乳食(予約制)のサービスなどもあって、子育て中のお母さんに人気です。

「若い世代にも、もっと豆腐や大豆のおいしさを知ってほしい」という想いでカフェを立ち上げたという店長の瑞慶覧麻沙美さんは、豆腐マイスターの資格も取得。池田食品で働いていた時の経験も生かして、豆乳、おからを使ったからだにやさしいメニューを毎日手作りしています。

瑞慶覧店長
ご自身の子育て経験を踏まえて、「子育て中のお母さんたちが気楽に集まれる場所になってほしい」という瑞慶覧店長

ランチプレート
今日のランチプレートは、おからのサラダ、島豆腐のハンバーグ、がんもどき、湯葉の炒めもの

あちこーこーの島豆腐を未来へ

できたて熱々の島豆腐の販売は、沖縄では長らく特例として認められていましたが、食品衛生法の改正によって、2021年から国際基準(HACCP)に沿った衛生管理の実施が義務化されました。これによって、沖縄の多くの豆腐屋が「あちこーこーでの豆腐の販売をやめるか、豆腐屋自体をやめるか」という選択を迫られることになり、あちこーこー豆腐のほとんどがスーパーの店先から消えて行きました。

「僕たちは、移動販売をすることによって基準を満たすことができますから、あちこーこー豆腐の販売を続けています。けれど、多くの豆腐屋さんは厳しい状況です」と、瑞慶覧さん。「あちこーこー豆腐を守ることは、沖縄の食文化を守ることにつながる」と、これまでの豆腐製造の概念をくつがえすような、新しい仕組みづくりの実証実験もスタートしています。

食卓を通じて、ウチナーンチュの健康を支えてきた「あちこーこー豆腐」という文化をどのようにして未来につないでいくのか。「大豆は地球を救うと、本気で思っているんです」という瑞慶覧さんの、well-beingな挑戦が続いています。

島豆腐
できたて熱々の島豆腐を、次世代につなぐための取り組みが始まっています

ゆし豆腐
固める前の「ゆし豆腐」も、沖縄ならではの大切な食文化です

池田食品/三代目池田屋

住所 /
沖縄県中頭郡西原町池田184-3
TEL /
098-945-0279
Webサイト /
https://ikedasyokuhin.com/
移動販売車の情報 /
https://ikedasyokuhin.com/info/car/
CAFEソイラボ
住所/沖縄県中頭郡西原町池田86-1
TEL/098-943-2230
営業時間/月~土 9:30~11:00、11:30~15:00(L.O)
                  日 9:30〜11:00、11:30〜13:30(L.O)
公式サイト/https://soylabo.jimdofree.com/
 

沖縄CLIP編集部

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放送日:2024.04.29 ~ 2024.05.03

  • 放送日:2024.04.29

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