宮古島の奇祭『パーントゥ』

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歴史文化

初回投稿日:2014.10.10
 最終更新日:2024.03.27

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パーントゥ

 

宮古島の島尻(しまじり)地域に、古くから伝わる畏敬の祭祀があるといいます。

ヘドロの泉から生まれる全身泥だらけの神様パーントゥが、

人々を泥を塗りたくって厄除してくれるのです。


 

パーントゥは、3体。

仮面をつけ、身体にはキャーン(つる葉)をまきつけ、

頭から足先まで全身ヘドロでびちょびちょ。

ニオイも強烈です!

 

なぜ泥だらけ? なぜ仮面をつけた畏敬の神なの?

いったい、どんなお祭りなのでしょうか?


 

昔々、島尻集落の発祥地・元島にあるクバマ海岸に、

クバの葉に包まれた仮面がひとつ流れ着いたそうです。

この仮面を「親パーントゥ」として、

「中パーントゥ」、「子パーントゥ」の計3つがあります。

 

集落の南端に産井があり、

そこは産水のほか、死者も清めた水という

生と死が輪廻するような聖地。

毎年パーントゥもこの産井から生まれるのですが、

神事の日は、ヘドロと化し、

地底から肉体をもった神様が3体誕生するのです。


 

パーントゥとは鬼という意味もあるそうで、

なるほど容姿が怖いわけです。

 

パーントゥが集落に現れると、当然、人々は逃げ惑います。

 

パーントゥは見た目のインパクトが凄いだけでなく、

足が早く、筋道から突然現れるので、逃げるのも必死!

神事としての鬼ごっごです。

 

神事の正式名称は「パーントゥプナハ」。

 

逃げ遅れた者は、顔や衣服を泥で塗られます。

でも、それが厄落としとなっているのです。

 

1982年に国の重要無形文化財となっているれっきとした神事です。


 

子ども連れの見物客も多いのですが、

怖いパーントゥが近寄ってくると、大抵のお子さんは大泣きします。

親御さんに、なぜお子さんが泣きわめくのを

承知で連れてくるのか訊ねてみました。


 

「子どもの健やかな成長を願って参加しているんですよ」。

と言う声が圧倒的に多いほか、

 

「最近、子どもが言うことを聞かなくなってきたので、

『親の言うことを聞かないとパーントゥが来るよ!』と、

しつけのために連れてきました」。と言う親御さんも何組かいました。

 

このように、昔から地域行事を通じて、

ときに神様への畏れ、子供へのしつけなどを

行ってきたのかもしれませんね。


 

また、妊婦さんも見物に訪れていて、

「元気な赤ちゃんが産まれてきますように」と、

安産祈願のため、お腹に触れてもらっていましたよ。


 

開催時期は大体旧暦の9月頃で、開催日は直前までわかりませんが、

運良く「パーントゥプナハ」に参加できるといいですね!

 

パーントゥと接触したときに、衣服やカメラが汚れてしまうこともありますが、

汚れてもいい恰好をして、厄を落としてもらいましょう!

 

そもそもパーントゥは泥を塗りにくるもので、それはありがたい厄よけです。

地元の大切な文化なのでそれを尊重し、理解した上で参加しましょう。

 

桑村 ヒロシ(KUWA)

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