やんばるの森を感じる美術館《やんばる森のおもちゃ美術館》

やんばるの森を感じる美術館《やんばる森のおもちゃ美術館》

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歴史文化

放送日:2026.02.02 ~2026.02.06

初回投稿日:2026.02.12
 最終更新日:2026.02.12

最終更新日:2026.02.12

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五感で楽しむ木のおもちゃ

沖縄本島北部、国頭村辺土名にある「やんばる森のおもちゃ美術館」(以下やんばる館)は、世界中の木でできたおもちゃを集めた美術館です。

「人が最初に出会う芸術は、おもちゃである」というコンセプトには、木に触れて香りを感じ、手触りを確かめることで、遊びの枠を超えて想像力や創造性を育む場であってほしいという願いが込められています。

全国に姉妹館を持つ「おもちゃ美術館」グループの一館であり、やんばる館は東京館と福岡館と同じNPO法人が運営しています。現在、全国で14館が展開され、今後はさらに増える予定です。

しかし、それらの中でも「やんばる館」は個性が際立つ存在。

世界自然遺産の森に隣接する国頭村森林公園内にあり、沖縄の自然や文化、暮らし、伝統を体感できるおもちゃ美術館として、独自の世界観を築いています。
 

国頭村森林公園内にある「やんばる森のおもちゃ美術館」

沖縄自動車道許田ICから車で約50分。国頭村森林公園内にある「やんばる森のおもちゃ美術館」

 

やんばるの森を象徴するイタジイの木

周囲には、やんばるの森を象徴するイタジイの木がたくさん

開放感のあるやんばる森のおもちゃ美術館の館内
開放感のある館内。子どもたちは裸足で木の温もりを確かめます

倒木した樹齢300年の琉球松で作られたトンネルで遊ぶ子供

倒木した樹齢300年の琉球松で作られたトンネル


ゴーヤーを形作った木のおもちゃ

ゴーヤーを形作った木のおもちゃ


やんばる森のおもちゃ美術館 副館長の永嶺慶太さん
副館長の永嶺慶太さん

大人も夢中になれる場所

館内には、沖縄の木を使った積み木やおもちゃ、ボードゲーム、けん玉、コマなど、多彩な遊具が揃います。

副館長の永嶺慶太さんは話します。

「基本的な遊び方は紹介しますが、こう遊ばなければならないというルールはありません。新しい遊び方を生み出すのは来館者自身。遊び方に正解はありませんからね。子どもが大人に遊び方を教える光景も珍しくありませんよ。おもちゃ=子どもの道具ではなく、子どもから高齢者まで、外国人も、障がいのある人も楽しめる、多世代型の遊びと学びのツールなんです」

沖縄ならではの木と文化

館内の床や大型遊具には、やんばるの木材が使われています。象徴的なのは、台風で倒木した樹齢300年の琉球松を再利用したトンネルや、一度寝転ぶと病みつきになるという同じく琉球松で作ったタマゴのプールなど。

また、沖縄の樹種を使った積み木や、ゴーヤー、豆腐、ポークなど沖縄の食文化をモチーフにした遊び道具も用意されています。遊びながら、沖縄の自然や暮らしを知る、そんな体験が随所にちりばめられています。

童心を取り戻す心地よさ

「実際は、子ども以上に大人が夢中になる場所なんです」と永嶺さんは目を細めます。

一見すると子ども向けに見える空間ですが、実際には大人だけのグループの方が滞在時間は長いのだそう。県内の家族連れや三世代で訪れる観光客、海外からのインバウンド客(特にヨーロッパ圏)、「子ども向けだと思っていた」と入館をためらった高齢の女性4人組が4時間滞在したというエピソードも。

けん玉に夢中になる人、ボードゲームに没頭する人、タマゴのプールでくつろぐ人。大人こそ童心を取り戻していく場所です。

視覚障がいのある来館者が1時間半にわたり楽しみ、「また来たい」と帰っていった事例もあります。木の手触り、重み、音、温度…、五感で楽しめる体験が、ここにはあります。

「国籍・言語・障がいを超えて楽しめる」。それが、木のおもちゃが持つ普遍的な魅力です。

演出の世界から、対話のある現場へ

永嶺さんはもともと、東京のテレビ局でアートディレクターとして番組制作に携わっていました。その後、30代後半でその道を離れ、沖縄へ移住。沖縄の木を使った木工作りをスタートさせます。

縁があって、現在の副館長に就任。

「テレビの画面越しの評価とは異なり、目の前で来館者の笑顔を見られることが何よりも楽しく、大きなやりがいになっています」と話してくれました。

 

地元の方に教わる草木編みワークショップも開催
地元の方に教わる草木編みワークショップも開催しています

より沖縄文化に触れられる新館を増設中
より沖縄文化に触れられる新館を増設中

赤いエプロンをつけたスタッフたちと遊ぶ人々
赤いエプロンをつけたスタッフたちの笑顔が素敵

一人ひとりに合わせた遊びを導く

館内には、赤いエプロンを身につけたスタッフが常駐しています。来館者一人ひとりの年齢や興味に合わせて、自然に遊びへと導く存在です。

赤ちゃんには安心して触れられるおもちゃを、外国人には文化を超えて楽しめる遊びを、大人には無邪気な気持ちを呼び覚ます体験を誘ってくれます。

楽しませる側でありながら、スタッフ自身も同時に楽しんでいること。それが、この美術館の温かな空気を生み出しています。

より沖縄文化に触れられる空間へ

この美術館は、森を守ること、木を循環させること、水を育てること。やんばるの自然と人の暮らしをつなぐ環境教育の拠点でもあります。

2026年2月9日現在、やんばる館は大規模リニューアルを進行中。3月15日に新エリアがオープン予定です。

新館では、ゴーヤーやパイン、マンゴーなど沖縄らしい野菜や果樹の収穫体験遊びが加わります。

また、沖縄そば店や寿司店などのごっこ遊び、アグー豚をモチーフにした遊具、船大工が作った実物より小さい本物のヤンバル船の展示、地域文化の体験コーナーなど、沖縄の文化と自然を体感できる内容がさらに充実します。

木に触れることで、森を想い、自然を感じ、暮らしを見つめ直す。

やんばる館は、人が本来持っている感性を呼び覚ます場所なのかもしれません。

 

やんばる森のおもちゃ美術館

https://www.kunigami-forest-park.org/toy_museum/

https://www.instagram.com/yambaru.f.toymuseum/

沖縄CLIP編集部

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放送日:2026.02.02 ~ 2026.02.06

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