親子で奏でる心のリズム「こども音育ひろばリトモ」
親子で奏でる心のリズム「こども音育ひろばリトモ」
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歴史文化
放送日:2025.11.17 ~2025.11.21
初回投稿日:2025.12.03
最終更新日:2025.12.03
最終更新日:2025.12.03
宜野湾市真栄原に、2005年から20年間続くリトミック教室「こども音育ひろばリトモ」があります。
目次
子どもの生きる力を引き出すリトミック
リトミックは、音楽に合わせて身体を動かしたり、声を出したりすることで、子どもの音感やリズム感、身体能力を養うとともに、子ども自身が持つ創造力や表現力、集中力、社会性などを伸ばしていく教育方法です。
もともとは、スイスの作曲家エミール・ジャック=ダルクローズが20世紀初頭に考案したもので、日本では戦後から本格的な普及が始まりました。現在では、幼児教室や音楽教室、保育園、幼稚園などで、教育プログラムの一環として広く取り入れられています。
「こども音育ひろばリトモ」は、そのリトミック教育をベースに、独自の音育プログラムを提供する子ども向け教室。主宰の上間咲子さんは「大好きな音楽を通じて、子どもの生きる力を引き出したい」との思いから、日々子どもたちと向き合い、レッスンに取り組んでいます。

「こども音育ひろばリトモ」主宰の上間咲子さん
「私たちがやっているのは、学習塾や楽器教室のような、単なる『音楽を教える教育』ではありません。一人ひとりの子どもが将来、人として生きていくために必要な『土台』をつくり、自立に向けた力を育むためのもの。音楽とのふれあいを通して、子どもが自分の可能性に気づき、選び、そこから自分で学び取っていくことを大切にしています」
そのためにリトモで決めているのが、「レッスンは保護者同伴」というルールです。親子が一緒に受講し、互いに触れ合いながらプログラムに取り組むことで、親は子どものいろいろな反応をダイレクトに知ることができ、その後の変化や成長にも気付きやすくなります。そうした経験を重ねて、親が子どもの可能性を信じ、焦らず見守れるようになれば、思春期を迎えたときにも適切な接し方ができ、子どもの個性を潰さず、さらに伸ばすことができます。
「子どもの成長に親自身も関わり、変化していくことが大切」。それが上間さんの信念です。

リトモでは、一般的な習い事や塾のように「子どもを預けて学ばせる」のではなく、親子が一緒にプログラムを体験していきます
リトミックとの運命的な出会い
そんな上間さんとリトミックとの出会いは、高校3年生のとき。高校では吹奏楽部の活動に打ち込む毎日で、卒部するまで将来の進路については何も考えておらず、漠然と「子どもと音楽が好きなので、保育系の学校に行こうかな」と思っていたそう。そんなとき、進路指導室で専門学校のパンフレットを眺める中で「リトミック」という言葉と出会います。気になって調べてみると、「子ども」と「音楽」に関わる教育プログラムだとわかり、「私が進むべき道はこれだ」と直感。
当時、沖縄にはリトミックを学べる学校はなかったため、上間さんは東京の専門学校への進学を即決し、卒業後に上京しました。

「高校時代は吹奏楽に打ち込んでいて、将来のことは何も考えていなかった」という上間さん(右端)。「子ども×音楽」というキーワードからリトミックに出会いました
しかし入学直後、病気療養中だった父の病状が悪化。学校に休学届を出し、わずか1週間で沖縄に戻ることになりました。その後は母とともに、父の経営していた会社を手伝いながら過ごしましたが、数ヶ月後に父は他界。上間さんは「このまま会社を手伝うしかないな」と思っていましたが、母は「東京に戻って勉強していいんだよ」と、上間さんの背中を押してくれました。上間さんは専門学校に復学し、改めてリトミックを学ぶことを決意します。
「この時点で、すでに『リトミックをしっかり学んで沖縄に戻り、教室を開くんだ』と心に決めていました」
子どもの成長には親の気づきが重要
東京の専門学校で2年間学んだあとは、別のリトミック専門機関にも1年間通い、さらに学びを深めてから帰沖。カルチャーセンターの講師を2年ほど務めたあと、大手幼児教室の音楽コース講師となり、7年間勤務しました。
その中で上間さんが気付いたのが、「子どもの生きる力を引き出すには、子どもだけでなく、親子にアプローチしないと意味がないのでは」ということでした。
「お母さんやお父さんは『子どもの個性を伸ばしたい、生きる力をつけさせたい』と思っていても、具体的にどうすればいいのかわからず、結果的に子どもの可能性を摘み取っていることも多い。親はどうしても『早くいろいろ学ばせなきゃ』と焦りがちですが、本来、子どもにはそれぞれのタイミングというものがあって、その子自身が『やりたい』と感じてスイッチが入った時にこそ、本当に力が伸びていくんです。大人が常に先回りして答えを与えていたら、子どもの成長の芽を摘んでしまう。親が子どもの成長を『待てる』ようになれば、親子関係も安定するし、子どもの可能性を伸ばすことができると思いました」
このときの気づきが、現在のリトモが掲げる「レッスンは保護者同伴」というルールにつながっていきます。

リトモで一緒にレッスンを受けるうち、親も子どもの日々の成長を実感できるようになっていきます
さらにこの頃、上間さんは「ダルクローズ・リトミック」に出合い、新たな衝撃を受けます。ダルクローズはリトミック教育の創始者ですが、現在の日本で主流となっているリトミックは教育ノウハウに重きが置かれ、ダルクローズが提唱した本来のリトミックからは分かれて発展してきた部分も多いのだそうです。
「ダルクローズ・リトミックは単なる教育の手法ではなく、『自分自身を磨くためのトレーニング』なんですね。私がダルクローズ・リトミックを学んで、その考え方をしっかり自分の中に落とし込んでから子どもと向き合えば、『どんなアプローチをすれば、その子の個性を伸ばすことができるか』が見えてくる。いまリトモで実践しているレッスンは、このダルクローズ・リトミックの考え方がベースになっています」

子ども一人ひとりと向き合う中から、その子の持つ可能性が見えてきます
子どもの年齢に合わせたレッスンを展開
こうした経験を通して「リトミックを教える」ことそのものより、「親子の関係を育てる」ことが重要だと感じた上間さん。2005年、それまで勤務していた幼児教室から独立し、「こども音育ひろばリトモ」を立ち上げました。現在は上間さんを含めて4人のスタッフが講師を務めており、主に0歳から5歳までの子どもたちを対象に、それぞれの発達段階に応じた独自のプログラムを実施しています。「0~2歳までは親子の触れ合いを重視し、日常生活の中から『発見』を促す内容が中心です。3歳以降は少しずつ音楽的要素を取り入れながら、自己表現や創造性を育むレッスンを行っています」

0歳児対象の「たねさんコース」では、ベビーマッサージやキッズヨガ、手遊びや歌遊びなどを取り入れて感覚的機能を刺激し、情緒の安定を促します
ちなみに、以前は小学校に上がるタイミングでリトモを卒業する子が多かったそうですが、現在は小学生になっても通い続ける子が増えているのだとか。小学生は、それまでの幼児期に体験したことがベースとなり、「自分の軸」が整ってくるタイミング。リトモでは、子どもたちが自分にとって心地よい環境をつくり、自己表現力と自立心を育んでいけるよう、レッスンを続けています。

リトモでは上間さんを含め4人の講師が活躍。みな口々に「日々子どもの成長を肌で感じられる、素敵な仕事です」と語ります
卒業生の子どもがリトモに通う日を夢見て
今年で創立20周年を迎えたリトモ。上間さんが「この20年の中で一番うれしかったこと」として挙げるのは、「リトミックを続けた子どもたちとその親が、今でも良い関係を築いていること」です。
「リトモでレッスンを受けてきた親子の家庭には、『子どもを信じて待ち、子どもに向き合い、共に育ち合う』という意識が根づいていると感じます。創立から20年経って、最初の頃に通っていた子はもう成人していますが、いずれは彼らがお父さん、お母さんになって、リトモに子どもを連れてきてくれたら嬉しいですね。それが実現したとき、リトモにとってもまた『次の一歩』が始まるのかなと思いますし、そのときを今から楽しみにしています」

きょうだい全員でリトモに通っていたという卒業生(中央)。「自分も今、子どもに教える仕事をしているので、ここで学んだことを子どもたちにどうやって還元できるか、模索中です」
その一方、現代社会のスピード感やプレッシャーの中では、働くお母さんたちが「母である時間」を十分に持てず、苦しんでいる現状が垣間見えることもあると、上間さんは言います。
「仕事と家庭のバランスを取っていくのはとても難しいですが、やっぱり親が子どもと向き合うことは、家族にとってかけがえのない時間だと思うんです。私たちもそうしたお母さん達に寄り添えるよう、いろいろな形でサポートができたらと思っています」

親子で一緒に受けるリトモのレッスンは、親にとっても子どもと向き合える貴重な時間となっています
リトモの創設時、上間さんの心の中にあったのは「『子育てって大変だけれど、それが幸せで楽しい!』と思えるお母さんが増えたらいいな」というピュアな願いでした。20年後の今もその思いを胸に、上間さんはリトミックを通じて、親子の絆をしっかりと結び続けています。
こども音育ひろばリトモ
- 住所 /
- 沖縄県宜野湾市真栄原1-21-1 カミサキベース2F A
- TEL/FAX /
- 098-870-2143
- E-Mail /
- happy@ritmonet.jp
- Webサイト /
- https://ritmoto.com/
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