紅型で紡ぐニライカナイの世界≪新垣優香≫
紅型で紡ぐニライカナイの世界≪新垣優香≫
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歴史文化
放送日:2026.03.16 ~2026.03.20
初回投稿日:2026.03.24
最終更新日:2026.03.24
最終更新日:2026.03.24
目次
紅型の鮮やかな色彩に惹かれて
那覇市出身で、現在は読谷村を拠点に活動する紅型作家、新垣優香さん。子どもの頃から絵を描くことが大好きで、紅型の鮮やかな色彩に惹かれたことから、沖縄県立首里高校の染織デザイン科に進学。琉球紅型の伝統的な技術技法を学びました。卒業後は、紅型作家の工房、さらに沖縄伝統工芸指導所で学び、2009年、紅型作家としてのキャリアをスタート。さまざまな公募展やコンテストに積極的に出品し、2011年と2012年には「りゅうぎん紅型デザインコンテスト」で2年連続大賞を受賞するなど、作家としての実績を積み上げてきました。

「りゅうぎん紅型デザインコンテスト」で大賞を受賞したデザインは通帳に採用されている
紅型作家としての第一歩を応援してくれたのは、沖縄伝統工芸指導所で学んでいた際に出会った大阪の呉服屋さん。伝統的な柄のみにこだわらず、自由なモチーフで描く新垣さんのデザインに関心を寄せ、オリジナル柄の着物を依頼してくれたのだそうです。

色彩豊かな作品が並ぶ工房にて。新垣優香さん
「高校生の頃から、紅型の伝統的な技術技法を学び、たくさんの古典図柄に触れる中で、いつかこの素晴らしい技術技法を取り入れながら、私にしかできない新しいことをやってみたいと思っていました。そんな私の表現したいことに共感してくださって、自分の世界観で自由に作っていいよと信頼してくださったことは、大きなモチベーションにつながりました。最初は不安だらけのスタートでしたが、これまでを振り返ると、人との出会いによって新たな作品が生まれることは多くて、たくさんの方々に作家として成長する機会を頂けたことに感謝しています」
誰もが笑顔でいられる世界をコンセプトに
根底にある創作コンセプトは「ニライカナイ」。沖縄では、昔から「海の彼方にある楽園」と信じられているニライカナイですが、新垣さんは、そうした「誰もが笑顔でいられる世界」をイメージして紅型作品を創作することを大切にしています。
「沖縄の海や蝶、夕陽、自然を見ると癒やされて幸せな気持ちになります。そうやって自分が目で見て、肌で感じている沖縄の景色を作品で表現して、見る人に笑顔になって元気になって頂きたいなと思っています」

南国の花や蝶などが色鮮やかに描かれた美しい作品
生き生きと舞う蝶や鳥、南国の日射しを受けて力強く咲く花、その生命感あふれる描写と、鮮やかな色彩には思わず目を奪われます。また、グリッター(ラメ)を載せたり、写真を転写するなど、紅型に新しい技法を加えることも、新垣さんの作品の特徴です。

ゴールドやシルバーなどのグリッター染料を紅型の上に載せていく
「グリッターは伝統的な紅型の技法ではないけれど、自分の作品に合っているなと思い取り入れてみたら、周りの方々に『あなたらしいね』と言って頂いて、とっても嬉しくて。以来、14年くらい続けていますが、今では作品の仕上げになくてはならないものです。写真と紅型の『ピクトコラボ』は、写真のリアルな世界と紅型のあたたかさの出会いで、新しい世界観が表現できたらいいなと。伝統的な紅型への敬意を持ちつつ、自分にしかできないスタイルを追求したいという思いから生まれたアイデアです」
沖縄の海に恩返しするコラボレーション
近年はアーティストとのコラボレーションにも積極的に取り組んでいます。アートギャラリーの展覧会で出会い、意気投合したレジンアート作家、山口有紀子さんもそのひとり。Oki Coast Ocean Art代表を務める山口さんは、読谷村を拠点に、沖縄の海洋環境とウミガメの保護を行うプロジェクト「Churamura 」の一員でもあります。
「作品を見てとても素敵だなと思って声をかけさせて頂いたら、作品の売り上げの一部をウミガメ保護の活動に寄付しているというプロジェクトの話を聞いて。私も有紀子さんと一緒に作品を作って、少しでも沖縄の美しい自然に恩返ししたいと思いました」

アーティスト活動をしながらウミガメや海洋環境の保全活動にも取り組む山口有紀子さん
その後、実現したコラボ作品が、「Churamura 」のシンボルとなる「美ら亀」。新垣さんは、レインボーに輝く海亀の親子をモチーフに、「沖縄の美しい海を選んで生まれてきた海亀たちが、素晴らしい人生を過ごせますように」という願いを込めて紅型作品を制作。山口さんは、紅型の周りに、沖縄の美しい海や地球をイメージした穏やかで優しい波動をレジンアートで表現しました。

新垣さんと山口さんのコラボ作品「美ら亀」
「作家さんとコラボすることで、作品に新しさ、奥行きが出て、自分の世界観を広げることができるので、大きな学びになっています。今回のように海亀のアートを通して、見てくれる人に物語をお伝えしていくことも大切なことだと感じています」
受け継いでいく伝統と新しい挑戦を胸に
2026年1月30日、那覇市久茂地にオープンしたホテル「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇」。新垣さんは、そのキービジュアルを手がけました。「琉球で、満ちている。」をコンセプトに、モデルの実写と新垣さんの紅型デザインのコラージュで表現。「ニライカナイの世界観と重ねて、海の中から南国の花々や蝶など、さまざまな生命の気配が浮かび上がり、モデルさんを包み込むような仕上がり」をイメージしたと言います。
また、ユニフォームにも新垣さんの鮮やかな紅型デザインが取り入れられています。「当ホテルは、長い歴史を持つ琉球銀行のビルに入居した新しいホテル。そういった面では、伝統技術をベースに、現代の感性を表現するという新垣さんの紅型にとても共感しました」と、総支配人の仲田達志さん。

新垣さんのデザインが取り入れられた「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇」のユニフォーム
「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇」は、沖縄の工芸に対する思いを感じられる場所。館内には、やちむんや芭蕉布、漆や藍染めなど、さまざまな工芸作家の作品が展示されており、その手仕事ならではの魅力に出会うことができます。

「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇」総支配人の仲田達志さん
「ゲストの皆さんが、このホテルで見て触れた作品をきっかけに、その作家さんの工房を訪れるなど、ここを拠点につながりが生まれるといいなと思っています。沖縄の文化の発信地になれたら嬉しいですね」(仲田さん)
「作家は生み出すことは得意でも、それをどんな空間でどう使うかまで考え実現することは、なかなか一人では難しい。こういった方々の力があってこそ作品がより輝いて、よりたくさんの方々に知ってもらう機会になると思います」(新垣さん)
豊かな自然と共に紅型が受け継がれていく未来へ
創作のインスピレーションとなるのは、沖縄の自然。工房の近くにある海には、よく娘さんと一緒に訪れ、小さな生き物を見つけたり、波の音を聞いたり、夕陽を眺めたり、海の恵みを感じながら過ごす時間を大切にしています。娘さんが生まれてから、毎年誕生日には、自ら制作した紅型の絵をひとつプレゼント。七五三のお祝いには、高校生時代に手がけた紅型で着物を仕立ててあげたそうです。数年前からは、娘さんにより身近に自然を感じてほしいと、沖縄県蝶として知られる「オオゴマダラ」の飼育に挑戦しています。

近所の海で娘さんと過ごす大切な時間
「育て始めたら、娘より私のほうが夢中になってしまって(笑)。孵化した蝶が部屋の中を飛び回る様子は本当に美しくて、たまに私の紅型の上で、羽を休めているときもあって、まるで作品の一部になってくれたみたいで感激しました」
「海の近くで自然と共に生きられていることに感謝したい」と、しみじみ語る新垣さん。この沖縄の豊かな自然と共に、紅型の素晴らしさがずっと受け継がれていく未来を思い描いています。

見てくれる人たちが笑顔になれる作品を作っていきたいと語る新垣さん
「先人の方々が大切に守ってきたからこそ紅型の伝統が今も残っている。そこにしっかりと敬意を示しながら、今の時代だからできる新しい表現を追求していくことを大事にしていきたいです。自分の作品を通して、今まで紅型を知らなかった方たちが興味を持ってくれて、伝統的な紅型への入り口になっていったら嬉しいですね」
新垣優香
オフィシャルサイト/https://arakakiyuuka.com/
沖縄CLIP編集部
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