もずくが支えるふるさとの海《勝連もずく漁師 宮城伸一さん》

もずくが支えるふるさとの海《勝連もずく漁師 宮城伸一さん》

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歴史文化

放送日:2024.05.20 ~2024.05.24

初回投稿日:2024.05.27
 最終更新日:2024.05.27

最終更新日:2024.05.27

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日本一のもずくを育む海

日本一の生産量を誇る沖縄県産のもずく。その生産量の約4割を占めるもずくが、うるま市勝連地域で水揚げされています。勝連沖の海は透明度が高く遠浅で、太陽の光がたっぷり降り注ぐ水深はもずくの栽培に理想的だそう。

勝連平敷屋のもずく漁師、宮城伸一さんの漁に同行させていただくと、沖に浮かぶ津堅島との間に広がる青く輝く海の中に、一面のもずく畑が広がっていました。

「もずくは綺麗な海でしか育たないんです。今、これだけのもずくが獲れているということは、勝連の海が綺麗だという証拠。もずくは自分たち漁師にとって、環境のバロメーターでもあります」と教えてくれました。

もずくの漁場
平敷屋漁港沖にあるもずくの漁場へ。かつては沿岸部での栽培も可能だったそうです

宮城さん
「もずく漁と言いますが、種を付着させた網を僕たちが綺麗な海に持っていって、海の力でもずくを栽培する、という方がニュアンスとしては近いかな」と宮城さん

勝連もずく
水揚げされたばかりの勝連もずく。海の恵みがたっぷり詰まっています

手間ひまかけて育てたもずく

勝連産のもずくは、太くてしっかりとした歯応えが特徴です。昔は、岩に付いた天然のもずくを採っていたそうですが、栽培方法が確立されたことでさらに広く、たくさんのもずくが収穫できるようになりました。

もずくは人と自然との共同作業によって育つので、「養殖」ではなく「栽培」と呼ばれます。もずくの収穫は、例年3月半ばからおよそ3ケ月間行われますが、もずく漁師の仕事は収穫の時期だけでなく、1年を通じて細やかに行われるそうです。

「3月末から6月末までが収穫期。その後は網を片付けて、旧盆の大潮の頃から飛び始めるもずくの胞子をビニールシートに付着させて採苗します。それを一度タンクに移して胞子を培養し、種を付けてから海に戻して、海の力で育ててもらいます。もずくを育てているのは海の環境なので、自分たちはその手伝いを少ししているだけですね」と、宮城さんは話します。

太くてシャキシャキとした食感
太くてシャキシャキとした食感が自慢の勝連もずく

もずく漁師
もずく漁師は1年を通じて海に潜り、種付けから収穫まで細やかな手入れでその成長を支えます

もずくをもっと広めたい

午前中の漁を終えた船が次々と勝連漁港に戻ってくると、港に荷揚げされた大量のもずくは、勝連漁協の加工場に運ばれていきます。そこで水洗いし、目視でゴミをのぞいてから塩蔵加工されたもずくは、「パックもずく」などの原料として県内外の業者に出荷されます。

勝連漁業組合がこれから力を入れたいと考えているのは、採れたての生もずくです。生もずくならではの食感や栄養価を生かして、たとえば「生もずく醤油」など、他地域の漁協でも真似できるような商品作りをしていきたいと考えているそうです。

勝連漁業組合のオンラインショップでは、早摘みもずくや生もずくのほか、もずく餃子、もずくスープなど、もずくの美味しさを知り尽くした漁協ならではの商品を
購入することもできます。

塩蔵もずく
生もずくと塩を混ぜて、保存期間が長い「塩蔵もずく」に加工しています

生もずくの加工場
勝連平敷屋漁港内に、2024年に新たに完成した生もずくの加工場
 

旬のもずくを美味しくいただく

早摘みもずくが旬の4月。宮城さんのご自宅を訪ねて、もずくの食べ方を教えていただきました。一般的にはもずく酢がよく知られていますが、地元の漁師さんはどのようなレシピでもずくを食べているのでしょうか?

「早摘みの新芽のもずくが僕は好きですね。滑りが強くて、喉越しがツルッとしていて。めんつゆで食べるのが好きなんですけど、酢も体に良いので、もずく酢も積極的に食べるようにしています。おすすめなのはもずくの味噌汁。生もずくを入れたら煮込まないで、ちょっと火を入れくらいにすると、色が緑っぽく変わって美味しいですよ」。

ちなみに、5月以降のシャキシャキしたもずくは、天ぷらがおすすめだそう。宮城さんのお母様からは、もずくジューシー(炊き込みご飯)を教えていただきました。市販の「ジューシーの素」と刻んだニンジンを入れて炊飯器でご飯を炊き、炊き上がったら刻んだもずくとネギを入れて混ぜるだけ。簡単だけれど、海の恵みを丸ごといただくような豊かな味わいのジューシーです。

もずくレシピ
宮城さんに教えていただいたもずくレシピ。上から時計回りに、天ぷら、味噌汁、ジューシー、酢の物

ジューシー
ジューシーは、炊き上がってからたっぷりの生もずくとネギを混ぜればでき上がり

もずくを食べて体も環境も綺麗に

低カロリーでミネラルや食物繊維が豊富なもずくは、近年、整腸作用がある自然食品としても注目されています。

そして、もずくがたくさん消費されて、たくさん栽培されることが、実は地球温暖化にも好影響を及ぼすそうです。

「もずくなどの海藻類はブルーカーボンといって、森などのグリーンカーボン以上に二酸化炭素を吸収してくれるんです。だから、皆さんがたくさん食べてくれれば、自分の体も綺麗になるし、地球も綺麗になる。作っている自分たちも自信をもって、後世につなげていきたいと思っています」(宮城さん)

Well-beingなもずくの可能性は、これからも広がっていきそうです。

食卓にずらりと並んだもずく料理
食卓にずらりと並んだもずく料理。地元の海の恵みが、家族の健康も支えています

子どもたちと散策する宮城さん
地元の浜を子どもたちと散策する宮城さん。この海の美しさを、もずくと共に守っていきたいそうです

勝連漁業協同組合

住所 /
沖縄県うるま市勝連平敷屋3821-18
Webサイト /
https://www.katsuren.net/

沖縄CLIP編集部

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