カジュアルなスタイルで国内外のクラフトビールを楽しめる専門店『Beerbar Felt』(那覇市)

カジュアルなスタイルで国内外のクラフトビールを楽しめる専門店『Beerbar Felt』(那覇市)

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初回投稿日:2021.03.06
 最終更新日:2024.05.23

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カジュアルなスタイルで国内外のクラフトビールを楽しめる専門店『Beerbar Felt』(那覇市) クリップする

那覇市のゆいレール「美栄橋」駅から歩くこと約3分。国際通りの喧騒から離れた久茂地川沿いに、ピンクのロゴが目を引くクラフトビール専門店「Beerbar Felt」があります。オーナーを務めるのは「毎日飲んでいたいほどビールが大好き」という大城倫子(ともこ)さん。20代で故郷の沖縄を離れ、大阪に住んでいたころ、あの有名な箕面市(みのお)の地ビール「箕面ビール」を飲み、感動。「これがビールなの?」という驚きと、「こんな世界があったんだ!」という喜びから、どんどんクラフトビールの世界にのめりこんでいったそうです。その後、「もっと知りたい」という探求心から、いてもたってもいられなくなり、単身ヨーロッパへ。ビール大国として知られるオランダ、ベルギー、ドイツを訪ね、現地のクラフトビールを飲み歩く旅を続けました。

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「Beerbar Felt」をオープンしたのは、2011年3月のこと。沖縄に帰郷し、会社勤めをしていた当時、ずっと胸に抱いていた「いつか飲食店をやってみたい」という夢を叶えようと一念発起。沖縄ではまだブルワリーも少なく、クラフトビールを飲めるお店が少なかった時代。「もっとクラフトビールの魅力を知ってほしい」という情熱と、「自分も毎日おいしいビールを飲んでいたい(笑)」という願望が重なり、“沖縄でクラフトビールが飲めるお店” 「Beerbar Felt」をスタートさせたのでした。

クラフトビール専門店「Beerbar Felt」

オープン当初は手探り状態で、泡盛、焼酎、ワインなどもメニューに加えながら、2つのタップでビールを提供していましたが、「もっと本格的なお店を目指したい」と、2018年に6つのタップを導入し、クラフトビールオンリーに。倫子さんは、ビアソムリエとビアテイスターの資格を取得、お店の改装も行い、クラフトビール専門店としてリニューアルオープンしました。

この頃から、大城さんの中学校時代の同級生、比嘉昭子(ひがあきこ)さんをスタッフとして迎え、「りんこさん、あっこさん」のあだ名で親しまれる笑顔いっぱいの楽しいコンビが誕生。「とにかく気取らず、カジュアルに」というお店のコンセプトを体現する親しみやすい接客が魅力的です。

大城倫子(ともこ)さん、比嘉昭子(ひがあきこ)さん

「日本では、クラフトビールというと、大手メーカーのビールより値段が高く、なんとなくハードルが高いイメージがあると思うんです。でもヨーロッパでは、みんな気軽にふらっとお店に立ち寄って、ゴクゴク飲んでいた。それがすごく素敵だったので、私もそういうカジュアルなスタイルでクラフトビールを楽しめるお店を作りたいな、と。“Felt”という名前も、意識したのはそこ。シルクでもベルベットでもない、日常的に使える素材=フェルトをイメージして名付けました」

カウンター

ガラス張りのドアから店内を覗くと、カウンターでビールを味わうお客さんと、楽しそうに会話をするりんこさん、あっこさんの姿。この素敵な光景につられて、ふらりと立ち寄るお客さんも多いはず。かくいう私もそのひとりでした。

カウンター

席に座り、まず目に飛び込んでくるのは、本日のビール6種が書かれたタップリスト。奈良県の「奈良醸造」、スコットランドの「ブリュードッグ」、静岡県の「ウエストコーストブルーイング」など、倫子さんが「自分が飲みたいビール」を基準に、国内外のブルワリーからセレクトしたものです。ホームページには「Today’s beers」として、その日に飲める銘柄を毎日公開しているので、そちらをチェックしてから訪問するのもおすすめです。

クラフトビール

「クラフトビールには、ワインのように多様なスタイルがあり、選べる楽しさがある。その魅力を皆さんにも知って頂きたくて、パンチのあるIPA、黒ビールのスタウト、フルーティーなホワイトエールなど、それぞれ違う味わいの6種をラインナップするようにしています。産地もさまざまなので、いろいろな土地を旅する感覚で飲んで頂いて、その地に想いを馳せてほしいなと。沖縄産のビールでは、英国のエールをベースにしたブルワリー『クリフビール』を入れている日もあるので、ぜひ現地で地産のクラフトビールも楽しんで頂きたいですね」

3種飲み比べセット

少しずついろいろな種類を試し飲みしてみたいという方は、180mlのミニグラスで飲める“3種飲み比べセット”(ミックスナッツ付き、1500円)を。この日飲んだ黒ビールの“トンコートコ”は、香りも味わいも豊潤で衝撃的でした。イギリスの「ブリューヨーク」というブルワリーで作られたもので、オートミルクを使ったスタウトだとか。

「シナモンとかバニラとか、複雑な味がするのが特徴。アルコール度数が8.5%と高いので、少しずつ味わって頂くのがおすすめですね。時間が経ち温度が変わると風味が変化していくのもクラフトビールのおもしろさ。一口飲むごとに新しい発見があると思います」

クラフトビール

タップのビールは、プラカップで1杯からテイクアウトが可能。そのほか、持ち込みのグラウラーでも持ち帰りができます。また、店内、テイクアウト、どちらでも楽しめる缶のクラフトビールも豊富にご用意。海外産のものがメインで、デザインも個性的。ラベルの情報を見て味で選ぶもよし、ジャケ買いのように見た目重視で選ぶもよし、ここでもまさに“選ぶ楽しさ”を味わえます。

缶のクラフトビール

おつまみは、鮭ハラスのポテトサラダやスモークチーズなど、自家製にこだわったメニューがずらり。中でも、フィッシュ&チップスは、「どんどんビールが進む!」と人気のメニュー。魚は身がぎっしり詰まったホキを使用、衣にはギネスビールを入れてふんわりサクサクに。冷めてもおいしいとテイクアウトでも評判です。

フィッシュ&チップス

2021年は記念すべき10周年。これまでを振り返り、「お客さんの“これがビールなの?”という反応がなにより楽しい」と語る倫子さん。

「ビールは苦手だった人が、ここでクラフトビールに出会って好きになってくれたり、何も知らなかったお客さんが私たちより詳しくなっていったり(笑)、そんな日々がとても楽しいです。うちの店はウンチクを語らないですし、何が正解とかはないと思っているので、お客さんそれぞれが自由に“おいしい一杯”を見つけて帰って頂けたら。沖縄で日常的にクラフトビールが飲めるようになったらいいなと思ってこの店を始めましたが、最近ブルワリーもお店も増えてきて本当に嬉しい。“今日はここのお店、明日はここのお店”と多種多様な味を楽しむ人が増えて、今後もっと沖縄のビールライフが豊かになっていったら嬉しいですね」

※料金はは2021年3月現在です。
 

Beerbar Felt

住所 /
沖縄県那覇市牧志2-19-2-102
電話 /
098-943-1440
営業時間 /
17:00~0:00
16:00~23:00(土日)
定休日 /
木・水
HP /
https://www.instagram.com/beerbarfelt/

岡部 徳枝

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