連載/島の恵み、島の味 その24 紫色の不思議な野菜、ハンダマ
連載/島の恵み、島の味 その24 紫色の不思議な野菜、ハンダマ
Reading Material
食べる
初回投稿日:2015.02.18
最終更新日:2024.08.30
最終更新日:2024.08.30
濃い緑の葉の裏側は、ビビッドな紫色の世界。
市場の中で並んでいる葉野菜の中でもひと極目立つ存在感の「ハンダマ」。
キク科の多年草で、40〜50cmくらいの高さです。
主に沖縄、南九州で食用野菜として栽培されています。
花は橙色の可愛らしい菊やたんぽぽに似た形をしています。
ビタミンA、ビタミンB2、鉄分が多く含まれていることから、古くから沖縄では「血の薬」と言われています。
1832年に渡嘉敷親雲上通寛(とかしき ぺーちん つうかん)によって編纂された「御膳本草(ぎょぜんほんぞう)」。
医食同源という思想の沖縄版の食養生に関するこの本にハンダマは「観音菜」という名前で記載されています。
「頭目の風を去り目眩をのぞき、目の腫れ痛みを直す」
また「肝臓の不足を補い、久しく食へば血気を利し、身を軽し不老長生の要素である」とされ、薬草として食べられていたことが伺えます。
味は、少し苦みと粘り気がありますが、彩りとして生でサラダに加えても良し、さっと湯がいて白和えや、胡麻和え、酢みそ和えなどにも良し。
油との相性も良いので豚肉やツナと炒めるのが一般的です。
薬草として食されていたので今回は「養生」というテーマから、ハンダマを使ったボロボロジューシーをご紹介。
ジューシーとは、沖縄で味のついたご飯のことをいいます。
沖縄そばやに行くと「ジューシー」と書かれたメニューに遭遇するあれです。
ジューシーは炊き込みご飯がメインですが、雑炊のように柔らかいジューシーのことを「ボロボロジューシー」といいます。
名前の可愛さに、必要もないのに声に出していってしまう「ボロボロジューシー」。
ちょっと元気がない時、風邪を引いた時、回復気味だけどまだ食欲がないなと言う時に、いつも我が家はボロボロジューシーを食べています。
その時にある材料で作れるから便利。
つくり方も簡単です。
昆布、鰹で出汁をとり、昆布は刻んでおきます。
生姜も細かくみじん切り。そして、栄養たっぷりの滋養野菜ハンダマも細かく千切りにしておきます。
スタミナをつけたい時は、豚バラ肉も少し入れると味に深みも出ますしオススメです。
そしてコトコト弱火で、生米の場合は多めのだし汁でじっくりとあまりご飯の時は20分くらい炊きます。
味付けはシンプルに天然塩のみ。ボロボロジューシーも家庭によってそれぞれ味があるので、味噌や醤油など風味の違いを楽しむのもいいですね。
そろそろ沖縄は旧正月。
旧暦の1月7日(2015年2月25日)には、ナージューシーといって、季節の野草に肉を入れた雑炊を作る習慣があります。
七種の草を入れた七草粥は、邪気を祓う本土の年中行事ですが、沖縄は、よもぎやフダンソウ、高菜などをいれたナージューシーを仏壇や火の神にお供えして一年の無病息災を祈ります。
ほんのり紫色になった雑炊は、ほんわり可愛らしくて、いつもよりちょっぴり気分をあげてくれるので、個人的にボロボロジューシーには、ハンダマがオススメなんです。
不思議と正月明けた七日目にボロボロジューシーをいただくと、調子がよくなります。
日頃の体調管理に美味しく、可愛らしいジューシーを是非召し上がれ。
【材料】(1人分)
・ハンダマ(2〜3束)
・豚バラ肉(1枚)
・生姜 1かけ
・昆布 10cm
・鰹節 少々
・塩 少々
・水 適量
・あまりご飯(半膳分)
【つくり方】
1.小鍋にたっぷりのお水と昆布を入れて火にかける。沸騰したら鰹節を入れ火を止めてしばらく置いておく。
2.昆布を取り出してみじん切り。鰹節が荒い場合はすくいとり、細かい場合はそのまま入れておく。
3.2の鍋を再び火にかけ、沸騰したらみじん切りした生姜と豚バラ肉を入れる。
4.あまりご飯をザルに移し、流水でぬめりを取って3の鍋へ入れる。
5.みじん切りしたハンダマを入れ、そのまま弱火でコトコト煮込み、塩で味付けしたら完成。
同じカテゴリーの記事
よみもの検索